上手ごかし
こんにちは、創業支援相談員の加山晴猛です。
最近、トヨタのリコール問題が経済ニュースとして取り上げられています。
国内での自動車リコール届け出件数は近年でも毎年300件程度もあり、自動車リコール自体は特に珍しいことではありません。確かに、このたびのトヨタのリコール問題は、その規模や米国自動車メーカーのトヨタの弱みに乗じたネガティブキャンペーンなど、ニュースネタとしてはセンセーショナルではありますが、ビジネスの世界ではごく日常的に繰り広げられている光景です。むしろ、トヨタのブランドイメージ低下と、トヨタ系列の自動車部品産業への影響が心配されます。先のリーマンショック以降の不景気で多くの中小企業が瀕死の状態でもあり、トヨタ系列自動車部品メーカーの下請け・孫請け中小企業がトヨタの業績悪化のあおりを受けて倒産に追い込まれるような事態にならないことを祈るのみです。
一方、最近のマスコミ各社のニュース報道をみて感じるのは、「上手ごかし」という言葉です。
「上手ごかし」とは、「口のきき方などが巧みで、人のためにするように見せかけること。口先ではへつらう(媚びる)ようなことを言ってはいるが、実のところ内心では自分の利益を計算していること。人を巧みに言いくるめて自分の思い通りに操ること」を意味する慣用句です。
ファイナンシャルプランナーとして資産設計相談を受けていてよく感じることですが、金融商品の運用に失敗したり、生命保険の見直しでこられる相談者の多くが、業者の「今が買い時、切り替え時」とか「公的年金なんてあてにならない、あれば将来も安心」などの一見魅力的な「上手ごかし」のうたい文句に踊らされ「知ってるつもり」させられて、結局は大きな損失を被っているケースが多いことです。
ビジネスの世界も同様です。景気の良い時期に関係各所からの「上手ごかし」の言葉に踊らされて進めた「新商品開発」や「多額の設備投資」、「新規事業」が実らずに、結局は多額の負債だけを抱えて資金繰りに窮する羽目に陥っている中小企業経営者を多く見受けます。
ビジネスの世界は自己選択・自己決定・自己責任が原則です。また、経営者(起業家)が「上手ごかし」の言葉に踊らされ、「知ってるつもり」になって判断を誤ると、そのつけは家族や従業員・取引先など多方面に波及します。そうならないためには、経営者や起業家は、自身が「知っていること」と「知っているつもりになっていること」を冷静に見分ける能力を身につける必要があるのです。そのうえで、数多くの情報の中から必要な情報を正確に選択する目を養い、それら事実に基づいて論理的に戦略や計画を組み立てる分析力と理論的思考力、判断力が求められるのです。
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