「虎の子渡し」経営になっていませんか?
こんにちは。創業支援相談員の加山晴猛です。
さて、最近の経済ニュースのトップに日本航空の経営再建(企業再生)の話題が取り上げられることが多いですね。私たち中小企業診断士の仕事には企業の経営再建支援という仕事があり、私自身も現在、ある中小企業の経営再建に向けた経営改善計画の作成支援をさせていただいています。
そんな中小企業経営者の方々のお話をお伺いしていて感じるのは、多くの経営者の方々は感覚的に資金繰りの厳しさを感じていても、手持ち資金の実態や収益の実態を把握できていないケースが多いこということです。また、具体的な収支計画に基づく資金計画も持たず、日々の運転資金を場当たり的に回しているケースが多いということです。
そのような状態を表す虎にからむ言葉として、「虎の子渡し」という慣用句があります。
「虎の子渡し」とは、「虎が3匹の子を生むと、その中には必ず彪(ひょう)が1匹いて他の2匹を食おうとする。そのため、親虎が川を渡る際には、子虎を彪と2匹だけにしないように子虎の運び方に苦慮する」という中国古典の故事に由来しています。
この言葉は「苦しい生計をやりくりするたとえ」として使用されます。また「次々に手渡すこと。リレー式に、順繰りに手渡すたとえ」としても使用されます。
さて、問題ですが、2匹の子虎が彪に食べられないようにしながら川を渡すために、親虎はどのようにすれば良いのでしょうか?是非、考えてみてください。(解答は本ブログの末尾でご紹介します。)
昨今の不況による売上減により、多くの中小企業経営者の方々は資金繰りの厳しさを実感し、当面の資金繰りに奔走されている経営者の方も多くいらっしゃることと思います。そのような状態がまさに「虎の子渡し」経営になっているということではないでしょうか。そのような状況に陥った主原因は、それぞれの企業が属している業種や業態、事業運営の方法等により種々様々です。
ただ、国税庁の平成20年度調査によると、日本の法人の7割近くが赤字会社(欠損法人)だそうです。利益が出ていないということですが、そうした赤字会社の2割程度が赤字決算するためにいろいろと税務処理を施しているとの数字もあります。一方で、金融機関対策(信用の維持)のために、費用の調整(減価償却の未償却等による費用の減額等)や、不良資産隠し、資産(棚卸資産や無形固定資産)の過大評価等により、決算の黒字化や財務構成の健全化(粉飾決算)をしている企業も多数見受けられます。
そのように、目先の資金繰りだけを長年続けきた企業の多くが、実際の資産の実態(資金残高や資産状況)を把握できなくなっています。そして、資金手当の方法も金融機関からの追加融資を得ること以外に思いが及ばず、環境変化に対応するための具体的な施策・戦略を創り出すことすらできなくなっているのです。
その様な企業が近年のように売上高が激減するという経営環境の変化に遭遇すると、途端に事業運営もままならなくなり、何の対策も打てないまま資金繰りが苦しくなり倒産に追い込まれることになるのです。
企業を倒産に追い込む直接要因は、事業赤字ではなく運転時金不足(資金ショート)です。そういった事態に陥らないためには、経営者自身が経営環境の変化に対応できるだけの筋肉質な経営体質・財務体質作りのための知識・スキルを身につけ、資産や経営の状況変化を逐次確認する習慣を身につけておくことです。
皆様の会社も「虎の子渡し」経営に陥っていないか、確認してみて下さい。
「虎の子渡し」の手順(解答)
①親虎は、まず、彪(ヒョウ)を対岸に運んで元の岸に戻る。
②次いで、子虎1匹を対岸に運び、彪を元の岸に連れ帰る。
③次に、彪を元の岸に残しまま、残る子虎一匹を対岸まで運ぶ。
④最後に、再び彪を対岸に運ぶ。
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